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なぜ司法書士になるのか? 〜一番大切なことで大切にされていないこと〜

最近,日常業務の片手間に,当事務所内の受験生数名に対し,
「なぜ司法書士になりたいのか」
という題で作文を書かせてみました。

その結果は…。
うすうす感じてはいたものの,数名いずれも不明瞭で曖昧模糊としておりました。

もちろん,なぜ司法書士になりたいのか,その理由は様々であり,個人の自由です。
しかし,司法書士でなければならない理由は明確にしておかなければならない,というのは私の考えです。

【目標を明確にせずに目標を達成してしまうことの悲劇】

ある女性がいました。
この女性の祖母はパン作りの達人で,祖母からパイ作りの技術をいろいろと教わりました。
その結果,その女性の作るパンは絶品となり,趣味で焼いて友人知人に配っては絶賛されていました。

ある日,その女性は友人から
「こんなにおいしいパンが焼けるのなら,自分のお店を持てばいいのに…」
と勧められました。

その女性は
「私なんて,そんな…」
と謙遜し,断るものの,他の友人からも散々褒められ,勧められ,
「あなたがお店を出したら,私,絶対買いに行くから!」
と言われ,その女性もついに,お店を出す決心をしました。

そして,約3年…。

今その女性は,疲れ果てて,無気力と絶望に苛まれて毎日を過ごしています。
自分の店を出す,ということは,店舗を構えるのに借金をして,仕入れ,掃除,接客,パン焼き,宣伝広告,経理,資金繰り…。
誰か人を雇うとしても,採用教育,マネジメントなどを自分でやっているからです。
誰かを雇ったとしても,その女性ほど真剣には働いてくれません。だから自分が頑張らなければ,と思ってしまいます。

その女性は,心から思っているはずです。
「私は,ただ祖母から教わったおいしいパンを焼いていれば,それでよかった…。なんでこんなことになったのだろうか」
と。

ある日,この女性が店をたたむ決心をしたとした場合。
疲れ果てた心と体,挫折した夢,そして借金です。

この場合,借金はなんとかなるとしても,挫折した夢と,数年間の苦しみは取り返しがつきません。

これはあくまでもたとえ話です。
しかし,受験生のみなさまも,今一度考えてみてください。

あれだけあこがれて,頑張って努力して,いろいろなものを我慢して苦しんで手に入れた司法書士の資格。
いざ実務についたときに,「あれ,こんなはずではなかった…」と思ったときには取り返しが付かなくなります。

例えば,ある20代の女性が,周りの友人は綺麗に着飾って,恋人や友人と毎日楽しんでいる姿を尻目に,必死で数年間勉強し続けて,司法書士試験合格。
そんな彼女が,実務についたときに「あれ…」となってしまうと,20代という人生の輝ける数年間を棒に振ってしまう危険があります。
まして,試験に5年も10年かけてようやく合格したときに,「あれ…」となってしまったときの絶望感は取り返しがつきません。

そうならない為にも,なぜ司法書士になるのか。この点は徹底的に明確にしておかなければなりません。


司法書士を目指す理由として,よくありがちな理由を挙げてみます。

1.お金儲けができる。

例えば,お金目当てで司法書士になりたい,と思っていたのならば,今すぐに司法書士受験をやめることを検討してください。
これは,司法書士が儲かる儲からないとか,儲けてはいけないとか,そういう意味ではありません。

単純にお金儲けであれば,普通に起業したり,投資等をしたほうが費用対効果が高いからです。
数年間,たくさんのものを我慢して,必死に勉強し続けるよりは,楽しんで投資をしたり,気の合う仲間と起業について話しているほうが健全でしょう。
受験生として,3年以上も勉強を続けていること自体が,お金儲けを目当てとした場合,あまりにも不採算と考えてみてください。

そして,司法書士として独立したとしても,儲かるかどうかはまた別の話です。
まして,司法書士法上の極めて重い職責と困難な法律問題を目の前にしたときに,お金儲けを目当てにしていた人は
「こんなはずじゃなかった…」
と思うことになります。

よって,お金儲けを理由として司法書士を目指すことは極めてコストパフォーマンスが悪いと言えます。
お金儲けを目的としている方は受験を継続するかどうか,今一度検討してください。


2.独立できる
確かに,司法書士という資格は独立しやすいと言えます。
では,独立を目的として司法書士を目指すということはどうなのでしょうか。

独立を目的とするのであれば,すでに述べたとおり,普通に起業するほうがローリスクと言えます。
自分の人生において,資格取得のためだけに3年以上も費やしている時間の間に,小さな失敗を何度も繰り返して,起業家としての知識経験を積み重ねていくほうが,よほど合理的であると言えます。

また,国家資格であることを理由に独立のしやすさを考えるのであれば,例えば行政書士や社労士等他の資格でもかまわないはずです。
司法書士試験のような地味な努力を長期間繰り返すよりも,他の,より難易度の低い試験を合格し,さっさと独立してしまったほうがよいはずです。

3.人助けがしたい
離婚(※)や借金問題などを扱っていることから,本当に困っている人の助けになりたい,と思って司法書士を目指す方がいます。
確かに,司法書士(正確には認定司法書士)は債務整理業務を行うことで,目の前の借金で苦しんでいる人の手助けをすることができます。

しかし,そのことだけを見て,その人を助けたと言えるでしょうか。
実際には,借金で苦しんでいる人は,目の前の借金が片付いたとしても,過去の借金の苦しみを引きずってしまい,借り入れを繰り返してしまう人がいます。目の前の法的処理は可能だったとしても,心の傷に関して,法律は無力です。

人助けがしたいのであれば,司法書士でなく,セラピストやカウンセラーという道であっても構わないはずです。

※離婚手続に関しては,離婚協議書の作成や相手方への離婚請求の内容証明文書作成は行政書士業務であり,離婚調停等裁判所に提出する書類は司法書士業務です。

4.法律の仕事に興味がある
この点に関しては,なぜ法律の仕事に興味があるのかをもっと明確にすべきです。
私自身の体験から言えば,司法書士には簡裁代理権があるとはいえ,常にその制限はつきまといます。
例えば,債務整理などで,過払金が140万円を超えてしまう場合,本人訴訟で手続をとらなければなりません。先日も80歳を超えた方に法廷に立っていただきましたが,弁護士であれば,80代の方に法廷まで行っていただかなくて済みます。
また,離婚手続に関しても,調停申立書の作成はできても,自分では調停期日に同席することもできず,依頼人に心細い思いをさせることになります。

本当に法律の仕事に興味があるのであれば,簡裁代理権という制限付きではなく,はじめから弁護士をめざすのが道理ではないでしょうか。
よく聞くのは,「弁護士は無理でも司法書士ならなんとかなりそうだから…」という言葉です。

しかし,本気で法律の仕事をしたくて,かつこのような安易な考えで司法書士を目指した場合,司法書士でしかないことに後悔し続けることになりかねません。

以上,主な4つほどの,よく聞く司法書士への受験動機について簡単に書いてみました。


【シンボルに踊らされている?!】

例えば,お金,というものがあります。目の前に1万円札があることを想像してください。
1万円札を手に入れたときに,多かれ少なかれ,嬉しいと思う方が大多数でしょう。

しかし,例えば
「おお,平成21年の新札!すばらしい,額に飾っておこう」
とか,
「やっぱり,この諭吉の表情,すばらしいよなぁ。この手触りもなんとも言えず心地よい…」
などと思う方は圧倒的な少数派だと思われます。

一般的には
「この1万円で,○×が買える!」
「この1万円で,○×を食べに行こう」
「○万円で,旅行に行ける…」
などでしょう。

そう考えると,1万円札そのものが欲しいのではなく,1万円で手に入るものの方が重要です。
もっと突き詰めると,1万円で何かを手に入れることによる体験の方が重要です。

例えば,ある母子家庭で貧しい生活を続けているときに,
「1万円あれば,家族でおいしい鮨を食べられる…」
という場合には1万円そのものよりも,鮨そのものよりも,日頃食べられないものを家族で食べて過ごす,という嬉しい体験そのものが重要である,と言えます。

だから,お金,というものは,ひとつのシンボルに過ぎません。

他には,結婚,というのもひとつのシンボルでしょう。
結婚さえすれば幸せになれる,と考えている人は,きっと痛い目に遭うはずです。
結婚生活が始まった後に,ちょっとでも不幸せな目に遭ったときに,「こんなはずでは…」と思い,それで離婚協議に突入していきます。


だから,「稼げる」はもちろん,「資格」や「法律の仕事」,「独立」など,みんなシンボルに過ぎません。

つまらないシンボルに踊らされているのではなく,あなたが心から,魂の奥からやりたい「何か」があり,その為に司法書士「でなければならない理由」を明確にして下さい。

逆に,明確になるまで落とし込むことができないのであれば,もう一度,本当に司法書士を目指すのかどうかを検討し直してください。
もし,検討し直したときに,司法書士でなければならない理由が見つからないのであれば,勇気を持って,司法書士試験から撤退するのも選択肢のひとつです。

そして,勇気を持って撤退した場合,「自分がひとつの目標に向かって努力しつづけることができた」ということに対して胸を張って,新しい別の目標に向かって人生を立て直してください。

また,「司法書士である理由」そのものが明確でなかったとしても,司法書士になる,という確信がある方は,これまで以上に確信を持って,勉強を続け,折に触れては「なぜ司法書士でなければならないのか」という理由を探し続けてください。


【司法書士であることの理由を探す手段】
人生において,自分の夢や目標を探す,ということは決して楽な作業ではありません。
ですから,こうすれば見つかる,というインスタントな手段があるわけでもありません。

だから,まず手始めに出来ることとしては,「なぜ司法書士になりたいのか」という題名で,作文を書いてみてください。
書き上がったら,自分で何度も読み返して,シンボルに踊らされていないか,よくチェックし,シンボルだと思うのであれば,その奥にある欲しい体験を突き詰めて探してみてください。

【作文の良し悪し】
作文には良し悪しがあります。もちろん,これは文章の巧拙ではありません。
自分が正直に心から思っていることをきちんと表現出来ているかどうか,シンボルに踊らされていないかどうか,という点につきます。

だから,上記で金儲け,人助けなど,いくつか例を出して批判しましたが,本当にあなたの心の奥底からそれを目指しているのであれば,それで構いません。あなた自身にとって,その理由が気高くやりがいの持てる理由であれば,それでいいのです。

【作文の添削】
しかし,これまでシンボルに踊らされているとかいないとか,そんなことを考えたこともない方が,自分の作文を書いて,それを読み返してみたときに,それが自分の本心かどうか,そしてシンボルに踊らされていないかどうかを判定するのは難しいと言えます。

とはいえ,この点を明確にしておかないと,合格までに無駄な年月を費やすことになりかねません。

よって,必要があれば私が作文を添削し,どの点がシンボルになっているのか,成っていないのか。もっと掘り下げて考えなくてはならないのかを指摘いたします。

実際,私が数名の受験生に対して作文を書かせ,何度も添削し,何がどうシンボルなのかを伝え,どう掘り下げて考えていったらいいのかを伝えるのは非常に難しいものがありました。
だから,たくさんの方の添削にはお応えできません。

【有料である理由】
この作文添削に関して,報酬として金5,250円を請求いたします。
冷やかし,興味本位の方を排除すると同時に,真剣な方が,「お金を払ったのだから…」とさらに真剣になるために,有料にさせていただきます。

なお,5,250円である理由は,当事務所の1回の法律相談料と同価格として設定いたしました。但し,今回の作文添削に関しましては,最大3回まで添削させて頂きます。

一度書き上げて,私が添削し,内容を指摘してさらに掘り下げて書いていただき,それをさらに指摘してもっと掘り下げて考えて,書いていただき…ここまでできれば「なぜ司法書士になりたいのか」という理由が明確になってきます。

【注意点】
以下の点について注意してください。
・個人情報はもちろんこの作文の内容を外部に漏らすことはありません。安心して正直に自分の本音を文章にしてください。
・書くときは必ず手書きにしてください。手書きの方が,潜在意識を刺激して,より自分の心の奥の気持ちが書きやすくなります。


【最後に】
この作文添削を,料金として設定するにあたり,いくらくらいが妥当か,実際に添削した方に聞いたところ,「少なくとも1万5千円から3万円程度はお支払いしないと…」とのことでした。

実際,私自身もこの価格でこの添削をし続けるのは難しいと思っております。
よって,平成21年7月21日まで申込の方限定で5,250円にてお受けいたします。以降,値上げを予定していますので,真剣な方は今すぐお申し込み下さい。

 

 

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